研究発表討論会
研究発表会:日本薄片研磨片技術研究会では総会・技術討論会を毎年1回開催しています。
第60回薄片研磨片技術討論会 (2017)のお知らせ
期間:2017年10月5日(木)~6日(金)
開催地:松江テルサ 4階中会議室(島根県松江市)
主催:日本薄片研磨片技術研究会
共催:一般社団法人日本粘土学会,
協賛:島根大学大学院 総合理工学研究科 地球資源環境学領域
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10月5日(木)総会(60回記念式典ほか)・研究発表会①・施設見学・懇親会
10月6日(金)研究発表会②・記念講演・特別講演地球資源環境学領域
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*第60回大会は上記2日間の日程での開催となります。施設見学を行うこととなりました。
参加費
◆討論会参加費(講演要旨集代を含む)
一般会員(共催会員を含む):6,000円、学生:4,000円
非会員(一般聴講):9,000円、非会員(学生聴講):4,000円
*非会員は総会のみ参加できません。
参加申込み:締め切りました
******* 各詳細*******
特別講演・記念講演
日時:2017年10月6日(金)13:00~14:00
場所:松江テルサ4階中会議室
特別講演詳細
タイトル:海底マンガン鉱床の研究と研磨片・薄片作製技術
講演者:臼井 朗 (高知大学海洋コア総合研究センター 特任教授)
概要:深海底の古い露岩は殆どすべて、黒い鉄・マンガン酸化物に覆われていて、これらは団塊、クラストと呼ばれ、レアメタル資源としての意義が強調されています。一方で、これらは超スローの速度で成長し続ける世にも稀な堆積岩です。われわれは、これらの多様な組成・構造の特徴を明らかにし、成因解明を目指して研究を続けています。近年、分析の高精度化、高解像度化により、大量のデータが迅速に得られるようになりました。しかし、我々のターゲットは、たっぷりと水や粘土鉱物を含み、粒子径は0.1〜0.01μm、空隙率最大30%、全岩モース硬度は2〜3程度ながら石英、磁鉄鉱、ケイ酸塩鉱物など多種多様、多起源のナノ〜ミクロンサイズの粒子が集合した堆積岩です。ナノ物質としての構造や組成が見え、超低濃度の金属濃度が検知できたとしても、やはり、顕微鏡下で見えるものは大変貴重で不可欠な情報です。その重要さ、今後の展開への期待などについて述べたいと思います。
記念講演詳細
タイトル:岩石組織より読み解く高圧変成岩の形成史
講演者:高須 晃 (島根大学大学院 総合理工学研究科 教授)
概要:私はこれまで主に高圧型の変成岩(藍閃石片岩、エクロジャイト、ひすい輝石岩など)の研究を行ってきました。対象は国内では三波川変成帯や三郡変成帯、海外では、キルギス、モンゴル、中国などの地域です。研究では、まず、フィールドにおいて岩体・岩石の分布や地質構造を調べ、岩石のシステマティックなサンプリングを行います。得られたサンプルより薄片を作製し、岩石の組織や構成鉱物を徹底的に観察・記載します。最近は変成岩の形成温度・圧力条件を推定するために精度の高い地質温度・圧力計が提案され、また、シュードセクション法の開発により平衡鉱物組合せ(あるとき同時にできた鉱物とその化学組成)が認定できれば正確な変成温度・圧力条件を推定することができるようになりました。しかし、平衡鉱物組合せの認定を誤ると得られた温度・圧力条件の地質学的意味はありません。変成岩薄片の詳細な観察により、三波川変成帯のエクロジャイトには、最大4回の変成イベントが識別できました。このように岩石記載というアナログ的なデータと温度・圧力というデジタルデータを融合させることにより、変成岩形成の地質プロセス(テクトニクス)が議論できるようになります。講演では、このような研究例を多数の薄片写真とともに紹介する予定です。
技術発表討論会
日時:2017年10月5日(木), 6日(水)
場所:松江テルサ 4 階 中会議室
研究発表プログラム(*発表者)
日時:2017年10月5日(10:00 – 12:00)
1 | 樹脂包埋による生物組織薄片の問題点と可能性 | 田尻薄片製作所 *田尻 理恵 |
2 | 樹脂の浸透性を高めることによる動物組織の薄片作製のための 新たな包埋法の提案 | 1)名古屋大学 環境学研究科,2)名古屋大学 全学技術センター, 3) 福岡大学, 4) 名古屋大学 博物館 *浦野 雪峰1, 高木 菜都子2, 田上 響3, 藤原 慎一4 |
3 | マルトー社製ペトロポキシ 154 の現状 | 東北大学大学院 理学研究科 地学専攻 *伊藤 嘉紀, 阿部 道彰 |
4 | 大型土壌薄片の樹脂含浸における問題点と改良について | 1)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター, 2)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター *大倉 利明1, 中塚 博子2 |
5 | 緑肥導入圃場における下層土の土壌構造の発達を大型土壌薄片で観察する | 1)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター, 2)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター *中塚 博子1, 唐澤 敏彦2, 大倉 利明3, |
6 | ドイツ視察報告 ~海外の薄片技術事情~ | 北海道大学大学院 理学研究院 薄片技術室 中村 晃輔 |
日時:2017年10月6日(9:00 – 12:00)
7 | FIB-TEM による研磨加工後の黒雲母底面の断面観察 | 京都大学大学院 理学研究科 *高谷 真樹, 三宅 亮 |
8 | 隕石の走査型電子顕微鏡観察用薄片作製の試み | 私立岩石鉱物薄片技術研究所 須崎 和俊 |
9 | 引っ張り試験片(Mg-Al合金)の平行部の鏡面研磨について | 北海道大学大学院 理学研究院 薄片技術室 野村 秀彦 |
10 | 細粒土壌の高度減容処理により発生するスラグの分析 | 1) 農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター, 2)産業技術総合研究所 *万福 裕造1, 鈴木 正哉2, 森本 和也2, 大和田 朗2 |
11 | アスファルトコンクリートの光学顕微鏡観察用薄片の作製 | 1)国土交通省 国土技術政策総合研究所, 2)産業技術総合研究所 *河村 直哉1, 坪川 将丈1, 大和田 朗2, 佐藤 卓見2, 平林 恵理2 |
12 | 乾式研磨法で作製した陶石の薄片と研磨片の観察 | 1) 長崎県窯業技術センター, 2)産業技術総合研究所 *武内 浩一1, 大和田 朗2, 森本 和也2, 鈴木 正哉2 |
13 | バーミキュライトの加熱膨張・剥離メカニズム | 1) 物質・材料研究機構, 2)産業技術総合研究所 *山田 裕久1, 大和田 朗2, 平林 恵理2, 佐藤 卓見2, 中村 真佐樹1, 鈴木 正哉2 |
14 | バーミキュライトの乾式薄片作製について | 1) 産業技術総合研究所, 2)物質・材料研究機構 *佐藤 卓見1, 山田 裕久2, 大和田 朗1, 鈴木 正哉1 |
最終更新日:2017.09.07