薄片・研磨片の世界

ギャラリーでは、薄片・研磨片に関係のある情報を幅広くお伝えしていきます。

第5回「身近なもの」

第5回は、私たちの周りに存在する「身近なもの」を薄片・研磨片技術を用いて再現してみました。その姿をお楽しみください。

1. 現代版磨製石器

作製:中村晃輔 (北海道大学)/ 佐々木克久 (アースサイエンス株式会社)
薄片技術を応用して石の包丁、言わば現代版の磨製石器を作製しました。刃の部分には黒曜石(十勝石)、柄には天然素材であるオオシャコガイ化石を使っています。黒曜石(十勝石)はガラス質で非常に壊れやすいので、乾式研磨法を用いて磨き上げました。現代版磨製石器は、薄片技術によって成し得た作品と言えると思います。

刃に黒曜石を使った和包丁は刃元となる「大むね」と「しのぎ」の間に白く球状の方珪石が見れます

金属製の刃物では有り得ない光景です。二つに切ったパプリカが刃越しに透けて見えます。

現代版磨製石器の和包丁は古代人が作った石器よりも包丁としての切れ味は???

今回使用した、オオシャコガイ化石と黒曜石です。

最新情報[2017/12/01] この「現代版磨製石器」は北海道大学総合博物館 3階S301に展示されており、一般の方もご覧になれます。博物館へのアクセスおよび開館情報等は北海道大学総合博物館ウェブサイト[外部リンク]をご覧ください。

写真では伝わりきれない実物の美しさをぜひ体験してください。

作製者からのコメント

刃先に関しては少しの衝撃で割れてしまいます。最初から最後まで気を抜けない作業の連続でしたが、薄片技術の普及の一環となればとの思いで仕上げました。自然が創り出した素材から作り上げた人間の道具、黒と白のコントラストをお楽しみください。 試料提供:大和田朗(産業総合研究所) 野村秀彦(北海道大学)

 

2. 石のヒメシロチョウ

作製:大和田 朗(産業技術総合研究所)

薄片作製の基礎技術「切断」「研磨」「接着」を用いて作製した石の昆虫作品の最新作です。

ヒメシロチョウの白く美しい身体には、化石サンゴが使われています。

眼、頭、胴のパーツです。眼はトルコ石です。

ボディーが組みあがりました。脚にも化石サンゴを使っています。

細い脚で身体を支えています。

指で簡単に折れるほど薄いサンゴ化石の羽です。化石サンゴの細かい穴が、模様のように美しく見えます。

飛び立ちそうな姿です。

作製者からのコメント

化石サンゴの細かい穴に研磨材が入らないように、乾式研磨法で研磨しました。そのため、白く美しいヒメシロチョウが完成しました。